イベント登壇アーカイブのお知らせ(NDLデジタルライブラリーカフェ)

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スライド投影資料

2020年12月10日に国会図書館で行われました「第1回 NDLデジタルライブラリーカフェ」に、弊社上島が登壇いたしました。同イベントは「デジタルライブラリーをもっと身近に!もっと楽しく!国立国会図書館のデータ活用の可能性を探る」ことを目的に、さまざまな分野の方が語る講演会です。

 

第1回のテーマは「ウェブアーカイブの活用と課題:WARPと国内外の事例から」。弊社が発表いたしましたのは、「ウェブアーカイヴの市場価値とビジネス利用をめぐって」 と題しました20分程度の講演です。講演資料が下記イベント概要ページに、また動画が国会図書館公式YouTubeチャンネルにて公開されておりますので、ぜひごらんください。

 

lab.ndl.go.jp

youtu.be

「コロナ禍において企業が必要なデータとは何か?」――「データ流通市場の歩き方」イベントレポート(後編)

2020年11月24日、オンラインイベント「データ流通市場の歩き方」がおこなわれました(主催:兼松株式会社、株式会社日本データ取引所)。前編では、3名のゲストスピーカーを招いて、日本のDX推進や、世界で起こっているデータ取引市場の現状についてトークがなされました。後編では、データ取引への期待や課題についてビジネスの現場から考えるべく、カジュアルな座談会の模様をお伝えします。

 

まずは弊社の上島(日本データ取引所)が、「JDEX™」の概要について説明しました。「買える!データの図鑑」をスローガンに、6つの活動を行う共同プロジェクトです。

 

(出典:JDEXサービス紹介サイト)

次の3つを狙いとしています。

 

1)気軽なデータ取引の実践

2)プロジェクト参加者の知識・関係づくり

3)データマーケットプレイスの充実

 

その一環として、「データ流通市場の歩き方」編集部を立ち上げ、データマーケットプレイス「JDEX™」でおすすめのデータを「紹介」して行きます。日々更新されるキュレーションの成果を参考にしながら、データマーケットプレイスにデータを出品したり、購入していただくことを想定しています。

 

必要なデータを探る「キュレーション活動」

JDEXの参加者のみなさま(企業、学術団体、行政機関など)は、オンラインで定期開催される「編集会議」にも出席できます。JDEX運営チームや他の参加者の方との対話を通じて、そもそもどのようなデータが世の中にあるのか、また自社の課題に見合うデータは何か、そして自社のデータを他の方に使ってもらうには何が必要かを探る場です。

図1:当日投影資料(P7)より抜粋

JDEXのメンバーは、秘密保持義務を前提として、実務知識を共有しながら、安心して対話ができる場として、データマーケットプレイスが試用できます。「JDEX™」の参加を通じて、アイデアが膨らみ、採用するデータ製品が決まり、パートナー候補が見つかったら、自社のデータ活用企画をより速やかに進められるようになります。

 

編集会議のデモンストレーション

編集会議は、異なる業界の実務メンバー同士がカジュアルな対話を行う場です。今回はそのデモンストレーションとして、3名の登壇者をお招きしました。

 

・森内大輔さん(シャープ, 国内空調商品企画部)

高橋健一さん(兼松, 電子統括室 新事業創造課)

・延川裕樹さん(日本データ取引所)



対話のテーマは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行にまつわるデータ収集としました。本イベントが行われた2020年11月24日には重症者が「第1波」を超えて最多となるなど、すでに「第3波」が到来している最中で、折りしも「Go Toキャンペーン」の見直しが発表されたところでした。これを踏まえて、司会の上島から、1)データマーケットプレイスにデータを紹介・出品するなら? 2)データマーケットプレイスにデータをリクエスト・購入するなら? 3)他に知りたいことは? といった問題提起がなされました。

 

コロナ禍の時代を見極める3つの視点

まず、感染症流行下に日常生活を送るなかで、個人としてどのようなデータを追いかけていたかを聞きました。森内さんは、「出かける前に、地図アプリで細かいエリア別の人の密集度合いをチェックするようになった」とのこと。高橋さんは「日頃のニュースにくわえ、GoToキャンペーンの動向を個人的に注視している」そして延川さんは「家族がいるため、GoToキャンペーン利用の動向を同じく注視しつつ、都道府県別の感染者数を見るようにしている」と語りました。

 

ここで上島より「日々、調べなければならないことが多岐にわたるなかで、個人でできることは、日々のニュースのチェックなど限られます。企業/チームとしてまとまった情報を得て、今後の情勢を見極めるには、大きく分けて3つの視点で情報収集することが望ましいのではないでしょうか。」とコメント(図2)。具体的には 1)マクロな社会情勢 2)メゾレベルの経済活動 3)ミクロな生活文化という視点を示しました。

 

特に2)について、「人やモノのメゾレベルの経済活動が、情報がない割には情勢として読みづらい。この動きをどう追いかけていくかが、多くの組織が関心を寄せている情報なのではないでしょうか」と問いかけました。

 

図2:当日投影資料(P19)より抜粋

家電データ出品の例:シャープ様の事例

上島の問いを受けて、「メゾレベルの経済活動」を知るには、実際にどんなデータが役立つのかを対話しました。

森内さんより、エアコンや空気清浄機等の空調家電に搭載されているセンサから、様々なデータが収集可能であることが紹介されました(図3)。

「温度や空気、人感センサからのデータだけでなく、それらとシャープのクラウドサービスの会員情報を組み合わせ、人の行動や感情といったものまで予測することができます。

 たとえばエアコンのスイッチを入れた時間帯のデータによって、どのようなときにユーザが「暑い」「寒い」と思ったのか、地域別に把握することができます。外気温の高低と、生活者の体感にはズレがあることがわかります。

 またアプリに登録されたユーザの属性は、年齢や性別といった情報だけでなく、ペットの種別まで登録でき、家電の操作ログと組み合わせることができます」

 さらに森内さんは、データ活用をシャープ社内で完結させるのではなく、社外の組織とも連携していきたいと意欲を示しました。

 

図3 当日投影資料(P4)より

森内さんによるデータの紹介を受けて、延川さんは「緊急事態宣言下のイエナカの生活行動を知ることは、今後のデジタルマーケティングの参考になるかもしれませんね」とコメント。また高橋さんは「いろいろな家電からデータが取れるこということに、すごい時代になったなと、驚きもありつつ怖さも感じました。だからこそ、セキュリティの重要さを実感しました」と述べました。これを受けて森内さんは「おっしゃるとおり個人情報は重要な課題。本人同意を得たうえで、個人が特定できない形でデータを提供しています。」と応じました。

 

データの出品と購入、実際にやってみた

また後半では、JDEXで実際にデータを出品したり、購入したりした場合の率直な所感について意見が交わされました。

 

森内さんには家電データをお試しで出品いただいた際のご感想をうかがいました。「出品や概要を執筆してみたところ、サクサク動いて、UIがわかりやすかったです。例えばデータの要旨の追加をする場合、テキストボックス横に説明がパッと出るのがよかったです。またデータの実際の出品と、データの要旨の紹介機能がわかれていることで、企業にとって選択肢が広がったり、ハードルが下がるのがよいと思いました。今後、異業種の企業同士が連携しやすくなるとよいですね」とコメントを頂きました。

 

高橋さんは「自分の仕事に活かせるデータを見つけやすくなるとより良いと思います」と述べました。また延川さんも、「シャープ様含め、他の企業のデータを組み合わせることで、今後の仕事に生かしていきたいです。またデータを紹介するときのわかりやすい表現や、ユーザの目的に応じた見せ方をしていきたいです」とコメント。

 

またデータを購入する立場として、高橋さんは兼松自身がデータマーケットプレイスに参加する場合に、どういった社内の決裁フローが生じるのか確認したとコメント。「商社として第三者データを購入するということは前例がなかったため、上長や、複数の部門に相談しながら進めていきました。また社内調整にあたり、データ購入の勘定科目を何にするかで議論になり、時間を費やすことになりました」とも語りました。

 

このように編集会議では、データ取引を行うにあたっての意見交換を行いながら、実務者同士でデータの紹介を定期的に行う予定です。

 

 

今後も本ブログでは、イベントの模様や情報発信を進めていきます! 詳しい情報は、ぜひJDEX運営チーム(support@j-dex.co.jp)までお問い合わせください。多くののご参加をお待ちしています!

 

※発言は個人の見解です。守秘義務のために一般論と脚色を含み、所属組織を代表するものではないことをご承知おきください。

データ流通ビジネスの最前線で起きていること――「データ流通市場の歩き方」イベントレポート(前編)

データ流通市場の歩き方メイン画像

2020年11月24日、オンラインイベント「データ流通市場の歩き方」がおこなわれました(主催:兼松株式会社、株式会社日本データ取引所)。本記事では、2時間にわたるイベントの模様を前後編にわけてお送りします。第1部のゲストは、藤田彰彦さん(兼松株式会社)、ファブリス・トッコさん(Dawex Systems)、植野大輔さん(DX JAPAN)の3名。日本の、世界のデータコミュニティやDXといった話題について語っていただきました。

 

日本のデータ流通ビジネスは「実践期」にある

まずは藤田彰彦さん(兼松株式会社 電子・デバイス部門 部門長補佐)より、「総合商社が描くデータコミュニティ像」と題した談話がありました。藤田さんによれば、国内におけるデータ流通の動きを「黎明期」「実践期」「普及期」「拡大期」と4段階に分けたうえで、データ流通が本格化し、市場の立ち上げ期にある現在を「実践期」と位置づけられます。その上で、データマーケットプレイスの運営を通じて、兼松が目指す未来像を示されました。特に、外部企業や団体と一緒になってデータコミュニティをつくり、データ利活用を包括的に共同促進することが不可欠であるとし、「JDEX™」(兼松・日本データ取引所・Dawexによるデータマーケットプレイス運営の共同プロジェクト)への参加を参視聴者に促しました。

図1:「総合商社が描くデータコミュニティ像」(P2)より抜粋

 

データ取引技術のパイオニアが見通す未来

次に、ファブリス・トッコさん(Dawex Systems共同代表/共同創業者)より、「The Rise of Data Exchanges」という講演が行われました。Dawex Systemsは、主として欧米向けにデータ取引マーケットプレイス及びデータ取引技術を提供するベンチャー企業で、2020年6月には世界経済フォーラム「Tech Pioneer」を受賞しています。また、データ政策に関する議会「Global Future Councils」に参画する、初めての仏企業でもあります。

 

図2:「The Rise of Data Exchanges」(P4)より抜粋

トッコさんによれば、データマーケットプレイスは「データバリューチェーン(企業が事業活動を個々の過程・工程の集合体ではなく各過程・工程での価値の連鎖と捉える考え方)ミッシングリンク欠けている要素)」です。データ提供者とデータ取得者、それぞれをつなぐ場所として――とくに、データへのアクセスや公開・配布を簡素化し、民主化する「ワンストップショップ」として機能することが期待されます。社内でも社外でも、他の組織と連携して、「体系化されたデータ流通のプロセス」を実装するべきだと、トッコさんは強調しました。

 

図3:「The Rise of Data Exchanges」(P9)より抜粋

また、フランスの農業データ流通市場である「AgDataHub」韓国が国家目標として約2.7兆円のデータ市場の育成を目指していることも紹介国際的にもデータ共有のフレームワークや政策提言増えつつあると示しました。最後に、日本の内閣府が提言する「Society 5.0」に言及しながら、「資本ではなくデータが、あらゆるものを結んで動かす社会。これをともに実現して行きたい」と述べました。

 

図4:「The Rise of Data Exchanges」(P17)より抜粋

 

ごっこ」ではない、真のDXによる破壊と創造を

第1部の最後には、「日本的デジタルトランスフォーメーションの幻想と現実」と題して、植野大輔さん(DX JAPAN代表)と、弊社代表の森田(日本データ取引所)が対談を行いました。これまで三菱商事ファミリーマートでデジタル戦略の推進などに携わってきた植野さんは、DXという言葉がバズワードになり、ハイプサイクル(技術の成熟度と社会への普及状況)でいえば幻滅期に入りつつある昨今、「それでもDX、企業が永続するためには避けて通れない課題」と強調しました。

 

図5:植野大輔「対談用投影資料」(P3)より抜粋

植野さんは、「多くの企業が「DX幻想」を抱いている」と危機感を示しました。「ネット接続されたデジタルデバイスが当たり前になり、エンドユーザがデジタル環境端末に常時接続可能になりました。この変化を単なる一過性のブームと捉えるのではなく、さなぎが蝶に「変容」するように、ビジネスを根本から変える『変容=トランスフォーメーション』を進めることが重要です」と植野さん。「しかし日本では、『AI』『デジタルマーケ』『デザインシンキング』といった言葉が誤解され、『データをAIに入れれば答えが出てくる』といった幻想を抱いている企業も少なくありません。結果的に『DXごっこ』になっているのが実態です。求められるのは、既存事業の『デジタル推進』ではなく、データとAIによるビジネスモデルの破壊と創造をおこなうこと。それこそが『真のDX』なのに」

 

図6:植野大輔「対談用投影資料」(P4)より抜粋

日本企業がDXに失敗するリアルな理由

 対する森田は、「日本のビジネスパーソンには、情報収集力はある。新しい経営手法が登場すると、関連書籍がまず売れる。しかし、その手法を展開するリソースの投入が中途半端で、企業のメインストリームの変革にはつながらず、一部で終わってしまう。それがこれまでに何度も繰り返されている」と応じました。

 これを受けて植野さんは、「日本企業の強みは『カイゼン』や、それを前提にした仕組みづくりにあるものの、根本的な破壊と創造を行うのは苦手」だと指摘しました。また「今後、人材の流動性が高まっていくとすれば、より多くの人材が大企業群、外資系企業群、ベンチャー企業群の3極を行き来するようになる。大企業は人事制度をより魅力的なものにする必要がある」とも述べました。

 

図7:植野大輔「対談用投影資料」(P7)より抜粋。

また、植野さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニー「デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」(P12、作中図の赤色下線は植野氏による加筆)を引用しながら、「DXを成功に導くには、新規投資の50%以上をデジタルに配分すべきだとする提言もある」と言います。「組織設計がおかしい場合もある。DXは全社変革・全体最適化なので、当然、経営リーダー直轄の部署にDX司令塔がいなければならない。しかし典型的な組織の失敗として、情シスや経営企画、デジタルマーケティングといった部署(=サイロ)の中に、DX担当チームが埋め込まれてしまうケースが多い」

 

対話の中では、過去に蓄積したデータや分析アルゴリズム開発のみに目を向けるだけでなく、未来に提供したい価値やサービスのために、「必要なデータセットの設計と、データを自社グループや外部から取り込むアライアンスをつくること」も重要だと指摘されました。最後に植野さんは、「デジタル活用」をお題目にするのではなく、「電力がそうであるように、デジタルも当たり前の資源として使っていくことが重要」だと語りました。

 

(後編につづく)