データ流通市場の歩き方

株式会社日本データ取引所の公式ブログです。

【8/3登壇のお知らせ】日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ主催「DIGITAL Foresight 2021 Summer」

project.nikkeibp.co.jp


日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが主催する連続オンラインセミナー「DIGITAL Foresight 2021 Summer ~日経BP編集部/日経BP 総合研究所が語るデジタル変革の行方~」に、日本データ取引所 代表取締役・森田直一が登壇します。

テーマは「データコラボレーション」。「あなたが知らないデータの真価、そのリアリティと新規事業創出への道」と題し、日経BP 総合研究所 主席研究員・杉山俊幸氏と対談予定です。

企業間のデータ売買の現場を最もよく知る一人として、データコラボレーションの未来を語ります! ぜひ、ご視聴ください。


日時:8月3日(火)16:00~17:00
登録:無料/事前登録制(先着順)

※イベント詳細、ご登録は上記日経BP社のウェブサイトからお願いいたします。

データの民主化とその活用 『地理情報科学――GISスタンダード』書評【連載:Jdexの本棚から】

Jdexの本棚から連載バナー

はじめに

Jdexがおすすめの本を書評・紹介する連載「Jdexの本棚から」。今回はライターの正尾裕輔さんに、『地理情報科学――GISスタンダード』(古今書院)について書いていただきました!

「地理情報科学」とはどんな学問?

実生活には膨大な量の情報が溢れています。そのすべてを土地勘や知識だけで把握するのは現実的ではありませんので、誰もが簡単かつスピーディーに活用できるような道具・サービスの需要は高いです(言うまでもないことですが)。

例えば、食事に出かけるとき、現在地の近くにどれだけの飲食店がどこにあるかを視覚的にパッと把握できればとても便利です。そうしたスマホアプリを利用されている方も多いのではないでしょうか? また、知る人ぞ知るサイト「大島てる物件公示サイト」は〝事故物件〟がどこにどれだけあるかを地図と紐付けて紹介していて、大きな注目を浴びています。

つまり、「どこになにがあるか・あったか」という膨大な情報を簡単に取得するには、地図と求める情報を紐付けて管理・運用するシステムが不可欠です。「地理情報科学GIS: Geographic Information Systems)」とは、簡単に言えばそうした技術を支えている学問です。

『地理情報科学――GISスタンダード』の内容

www.kokon.co.jp

本書は地理情報科学の初学者向けの教科書です。この学問の歴史や概念に始まり、データのモデル化・形式化・処理方法・分析方法・視覚化の技術的な解説、そしてどのような形で社会に貢献できるかが記述されています。全30章で構成されており、それらは大きく6つのトピックに分けられます。

  1. 実世界のモデル化と形式化
  2. 空間データの取得と作成
  3. 空間データの変換と管理
  4. 空間解析
  5. 空間データの視覚的伝達
  6. GISと社会

GISが現在どのように活用されているか」を知りたい方、特にビッグデータクラウドの活用・人材教育に興味があるビジネスパーソンには「GISと社会」(25章〜30章)から読んでみると、全体の見通しがよくなります。

地理情報科学の歴史

簡単にその歴史を見てみましょう。

地理情報科学は膨大な量のデータを扱い、かつ検索性の高い整理方法の開発が必要だったため、その歴史はやはりコンピュータの発展と共にありました。

地理情報科学の概念が生まれたのは1950年代、アメリカ空軍によってレーダ上の飛行物体を識別する対話型コンピュータ・グラフィクス(SAGE:Semi-Automatic Ground Environment)が開発され、これがGISの起源と言われています。1960年になると国や行政機関が業務効率化のためGISの開発に取り組み始め、様々なソフトウェア、処理技術が開発され、1980年になるとワークステーションで作動する汎用性の高いものが市場に登場するようになりました。

ただこの当時、まだ「地理情報科学」は学問として認識されていませんでした。

学問として「地理情報科学」が認知されたのは1992年。アメリカの国家地理情報分析センターのグッドチャイルドが「GISystem(地理情報システム)は実世界を理解するためのツールであり、GIScience(地理情報科学)は地理情報技術の発展を支える普遍的なサイエンスである」と呼びかけたのがその芽生えとなりました。そして2000年代に入ると、人文社会学から理学、工学といった様々なバックグラウンドを持つ研究者が集まる国際会議なども活発化し、学際的な性格を強めていきました。

緊急時に効果を発揮するGIS事例――コロナ禍での活用

地理情報科学が多くの研究者・開発者を集めた要因は「コンピュータの小型化・高性能化」と「学際的(分野横断的)」の2つではないかと私は考えます。

21世紀に入ると、個人向けのパソコンで作動するGISソフトウェアも増え、基礎知識さえあれば誰でも気軽に扱えるようになりました。例えば、私たちが普段から気軽に使うものであれば「食べログ」などがあり、また本書では2011年東日本大震災直後に活動した「simsai.info」など、クライシスマッピングと呼ばれる活動がGISの重要な社会貢献の例として挙げられています。そして地理情報科学が分野横断的な学問であるからこそ、多くの人が集まり、多種多様なデータの収集を大規模に行えていると考えられます。開かれた場に多くの情報が集まるというのは現在のSNS全盛の時代とも相性がよく、こうした動きは「データの民主化」と呼ばれることもあります。

前述したクライシスマッピングとは「自然災害または政治的混乱等で危機的状況となった地域へ詳細で最新の地図情報を提供する活動」のことです。誰でも分け隔てなく参加できるため、情報収集に大量の人材が投入でき、またSNSを使った複数対複数の情報交換が可能になるなど、リアルタイムに近い情報が必要な状況に対応可能な仕組みを有しています。
現在、GIS新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況把握のためにも活用されています。ジョン・ホプキンス大学のシステム科学工科センターは、世界地図に感染者数・死亡者数・回復者数といった情報を紐付けたダッシュボードを公開しています(図)。

図:ジョン・ホプキンス大学による新型コロナウイルス感染症感染状況のマッピング

クライシスマッピングで定義される危機的状況では、迅速かつ正確な情報の取得が肝になります。それは現場での対応・注意喚起のみならず、数理モデルを使った今後の動向予測・被害状況分析などの研究、未来に起こる危機的状況への対策のための貴重なデータです。


以上で紹介したように、本書は地理情報科学の歴史・仕組み・活用事例をカバーしています。

最後におすすめしたい書籍が、韓国の経営戦略コンサルタントのキム・ヨンソプによる『アンコンタクト  非接触の経済学』です。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により現在「非接触」が世界的にも重要なキーワードになっているなか、コミュニケーション・経済・医療・宗教・政治などのありかたの変化が考察されています。

技術の活用は、扱う情報の性質・世の文脈と分かち難い関係を持っています。技術の進歩や世の中の動き・トレンドは日々変わりつつありますので、現実に活用していくためには世の中の流れにおける位置付けがポイントになります。


(文責:正尾裕輔)

【7/20オンラインセミナー】オープンデータも社内データも本気で使う組織づくり──第3回データ流通市場の歩き方

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あちこちの部署で同じデータを別々に使っていたり、せっかく分析したのに誰も読まない調査レポートが社内に埋もれてはいませんか?  本セミナーでは、組織にデータを眠らせず、業務プロセスの効率化にいかすための組織づくりを事例ベースで考えます。

ケースセッションでは、社内外に眠るデータ資産を有効活用できるチームのあり方について、株式会社日本データ取引所の上島が紹介します。プレミアムセッションでは、キッコーマンの「おいしさ未来研究センター」よりセンター長の堀江伸浩氏をお呼びし、日本を代表する食品企業が取り組むデータ活用の現場に迫ります。

今度こそデータの「陳腐化」を脱却し、「データの民主化」の第一歩を踏み出してみませんか。


このようなお悩み・課題を持つ方におすすめです

  • 社内でのデータ共有に障害があり、いつもストレスを抱えながら仕事をしている。
  • 買ったはいいものの、使えていないデータがある。
  • チームメンバーに円滑に仕事をしてもらうために何ができるかを考えている。
  • SNSの定性分析をもっと改善してデジタルマーケティングに活かしたい。

  

以下のフォームよりお申し込みください。

※本セミナーはデータマーケットプレイスJDEX®️会員向けイベントとなります。 未登録の方は、セミナー登録後に送付されるURLからJDEXへのご登録をお願いいたします。

 

セミナーお申し込みフォーム

 

開催概要

  • 日時:2021年7月20日(火)17:30-19:00
  • 視聴方法 :Zoomウェビナーでのオンライン配信(※お申込完了後、会場URLをzoomの自動配信メールで送ります。)
  • 参加費 :無料

 

プログラム概要

1)ケースセッション:「データは苦手だった」チームを変えた3つの工夫

「デジタル変革」ブームが大企業や官公庁に広がるなか、「DX疲れ」や「データ嫌い」に悩む声も、ちらほら聞こえるようにもなりました。「データサイエンティストの孤独・孤立化を防ぐ」と題するWebセミナーが数百人の参加を集めるなど、専門人材と組織のギャップも指摘されます。

一方で、「エクセル経営で現場が強くなるような頭脳を持つ」(出所:ニッポン放送あさナビ」2021/3/19放送)とか、「情報の流れを整理するときに、TPS(トヨタ生産方式)が非常に役に立つ」(出所:トヨタ自動車株主総会2021)など、企業文化としてデータ/デジタルの「苦手意識」を克服する取り組みが注目されています。

こうした背景を踏まえ、ケースセッションでは、社内外に眠るデータ資産を有効活用できるチームのあり方について、基本的な考え方と具体的な工夫例を交えて紹介します。

(語り手:株式会社日本データ取引所 上島)

 

2)プレミアムセッション:
キッコーマンの挑戦】社内外データを「攻めのビジネスリソース」に転換
──キッコーマン おいしさ未来研究センター長 堀江伸浩氏

年長世代には「しょうゆ」の、若年世代には「豆乳」のメーカーとして知られるキッコーマン株式会社。その売上の60%は海外事業で、名実ともに日本の歴史が誇るグローバル企業です。近年では『グローバルビジョン2030』を策定し、従来のビジネスモデルをより発展させ、グローバルNo.1に向けて新たな価値創造への挑戦に取り組んでいます。

そんな同社が2017年4月に設立したキッコーマンの「おいしさ未来研究センター」は、「おいしさとはなにか」を問う研究や、外部環境分析や生活者研究から未来への価値創造につなげる社内共創の取り組みに加え、事業部門のマーケティングPDCAの調査業務を行っています。

今回のセッションでは、おいしさ未来研究センターのミッションやデータ活用の取り組みを事例ベースで紹介いただきます。歴史ある食品メーカーの社内で新規部署を立ち上げ、経営部門、事業部門や研究部門と数多くのコラボレーションを積み重ねてきたセンター長の創意工夫を伺います。

(聞き手:株式会社日本データ取引所 森田)

 

タイムテーブル

  • ケースセッション:17:30〜17:55
  • 休憩:17:55〜18:00
  • プレミアムセッション:18:00〜18:45
  • 質疑応答・まとめ:18:45〜19:00

 

登壇者プロフィール

堀江伸浩(キッコーマン株式会社  おいしさ未来研究センター長)
京都大学にて食品工学を学び、キッコーマン株式会社に入社。商品開発の技術者として日本と米国にて多くの商品開発に従事。その後、開発組織の部長を経て、4年前に新設された「おいしさ未来研究センター」の企画担当部長となり、新規テーマの設定や組織の運営体制の整備に関わる。2020年よりセンター長に就任。組織ミッションである「おいしさとはなにか」を問う研究や、外部環境分析や生活者研究から未来への価値創造につなげる社内共創の取り組みに加え、事業部門のマーケティングPDCAの調査業務を担う組織としてメンバーとともに奮闘中。


森田直一(株式会社日本データ取引所 代表取締役
三菱商事株式会社に20年在籍する。その後独立系VCのEntrepia Venturesパートナー、株式会社マクロミル執行役員、Zappallas Inc, (US) CEOを経て2016年2月 株式会社日本データ取引所を設立。「日本のデータを民主化する」をライフワークとしている。

 

上島邦彦(株式会社日本データ取引所)
創業メンバーとして事業企画に従事。データマーケットプレイス企画推進、データ戦略・実践コンサルティングに携わる。「データ流通市場の歩き方」編集部員。研究データ利活用協議会「データ共有・公開制度検討部会」委員。データ社会推進協議会技術基準検討委員会「データ品質TG」副主査。

 

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※本セミナーはデータマーケットプレイスJDEX®️会員向けイベントとなります。 未登録の方は、セミナー登録後に送付されるURLからJDEXへのご登録をお願いいたします。

 

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日本社会の「わかりあえなさ」と情報共有不足

情報共有不足の社会

新型コロナウイルス感染症の流行は、ビジネスの観点からみても、日本社会が抱える大小の課題を浮き彫りにしたように思います。

国家全体をみると、ブルームバーグ「COVID耐性ランキング」で日本は2位から14位に下落。行政システムの機能不全は「デジタル敗戦」(by日経コンピュータ誌)とさえ呼ばれました。 

たしかに、さまざまな企業や自治体が訴えるデジタル変革(DX)は、内外の反発・対立で足踏みばかり。個々人の生活のデジタル化はネットメディアの利用時間が増えたくらいで、リモートワークは普及途上。日本社会はいまだ「ニューノーマル(新常態)」にたどり着けません。

「理想論」としてのDXやニューノーマル以前に、いまの日本社会には「情報共有」という古くからある問題が巣食っています。

国や行政においては、専門家による分析が行政府に伝わらない、データに基づく報道が信用されない、公的支援制度の情報が市民に届かない。各企業においては、経営者のビジョンが現場に伝わらない、反対に現場が持つ生のデータが経営者に届かない。

国家戦略から会社のチームまで、大小さまざまなレベルで情報共有がなされていないのです。

新型コロナウイルス感染症ファクトシートの作成

壮大なデータ社会を構想する前に、コロナ禍の日本では政治・医療・経済・生活がどう動き変わったのか、問題はどれほど深刻だったのかを理解し、情報共有することが必要なのではないか。

そんな課題意識を持って、私たちは「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を作成しました。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

 本シートは、データマーケットプレイスJDEXに無料登録でどなたでもダウンロードいただけます。

これは2020年度の新型コロナウイルス感染症に関する主要な情報をアーカイブし、簡単にチェックできるよう要約してまとめたものです。

記録された事実は、データ流通の専門家である私たちにとっても力不足を痛感させられることばかりです。しかし「痛いところ」に向き合わなければ、日本にDXもニューノーマルも訪れないでしょう。

組織の「わかりあえなさ」をつなぐには? 研究者と実践家が語り合う場

情報共有においてさらに悩ましいのは、組織と組織が情報をシェアする「データ共用」にあります。同じ組織内でもうまくいかないのに、組織を超えるとなるとさらに難しいことは想像に難くないでしょう。

しかし、情報共有をめぐる問題の本丸はここにあります。さまざまな組織が自分たちの持っているデータをシェアできれば、ひとつの組織だけではできない問題解決に取り組むことができるはずです。

そこで私たちは次のアクションとして、組織間の「わかりあえなさ」をつなぐ情報共有のために必要なことはなにか? どのようなケースがあるか? そんな問いかけを研究者や実践家とともに考えるオンラインの場として「データ流通市場の歩き方」をつくりました。

jdex0624.peatix.com

 本イベントは、データ活用やデータ流通市場を専門とする早矢仕晃章さん(東京大学、データ起点のPRや情報流通のプランニングに取り組む登坂泰斗さん(オズマピーアール株式会社)という強力なゲストを迎えて、次のようなトピックを議論します。

  • まとまらない施策カレンダー、それぞれの評価指標
  • 「類は友を呼ぶ」共有・秘匿データのネットワークから得られる示唆
  • 2020年の日本をふり返る――新型コロナウイルス感染症ファクトシート 

社内の情報共有から一歩踏み出して社外データを活用したり、インターネットやソーシャルメディアのオープンなデータを使ったりしてみたいといった現場の課題を抱える方から、DX推進に資するパートナーシップ形成の相手を見つけたい、自社の成長に必要なデータ戦略を考えたいといった全社レベルの課題を抱える方まで、どなたにも参考になる議論ができたらと考えています。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を公開します!また関連データの情報提供者を募集します。

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株式会社日本データ取引所は、2020年度の新型コロナウイルス感染症に関する主要な情報を要約した新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を、データ売買マーケットプレイス「JDEX」上で公開します。またファクトシートに掲載するグラフ・図表や元データを募集します。

 

j-dex.co.jp

 概要

日本国内では、新型コロナウイルス感染症の人口10万人あたりの新規感染者数が15都道府県で「ステージ3」となる一方、ワクチン接種は数か月かけて徐々に進む見通しです。そうしたなか、昨年から続くコロナ禍の動向をふり返るとともに、後世に残すべきアーカイヴ構築の第一歩とするため、本シートで基本的な時系列を見やすくおさらいできるようにしました。

 

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報道・世論は昨春に急騰したが、感染者が急増したのは秋・冬にかけて


グラフには、日本と世界の新規感染者数と、ニュース記事・インターネット検索・SNS投稿の件数推移を指数で表しました。


また「日本のできごと年表」には、政治・経済・医療・文化の4区分で、日本国内の主要なできごとを一覧にしています。

 

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感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめました

 

背景

株式会社日本データ取引所は、データマーケットプレイス事業の拡大と、社会的意義のあるキュレーション活動を行うため、「新型コロナウイルス感染症」に関するデータのリスト作成を進めてきました。


これは、欧米圏で先行するデータ・ライブラリ構築の日本版に当たると考えています。たとえば、Our World in Data「Coronavirus Pandemic」、Dawex「COVID-19 Data Exchange Initiative」などの取り組みがあります。

 

ourworldindata.org

www.covid19-dataexchange.org


すでに150種ほどのデータを発見しておりまして、さらなる発展のため、このたび「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を作成し、より多くの方にデータ提供・利用を呼びかけることにいたしました。データ売買マーケットプレイス「JDEX」上で無料配布いたします。くわしくは下記サービス紹介サイトをご確認の上、お申込みをお願いいたします。

  

www.service.jdex.jp 

今後に向けて

当社は、今後もファクトシートの更新をつづけます。情報提供いただける方は、当社窓口までお問合せください。自薦・他薦を問いません。発見済のデータをお持ちの方には、私どもからもお声がけする予定です。


お寄せいただいた情報をもとに、このファクトシートに新たにページをつけ加え、コロナ禍の社会変化を知るためのデータを募集し、図表・グラフにして掲載します。


また、データマーケットプレイス「JDEX」や関連セミナーでも紹介します。ご関心のある方は、この機会にぜひご参加ください!

 

 

お問い合わせ先:株式会社日本データ取引所(Japan Data Exchange Inc. 通称:Jdex)
メールアドレス:info[at]j-dex.co.jp

【連載:データ流通ことはじめ】地図とモビリティの未来を考える! 第1回 イントロダクション〜道路交通ビジネスの歴史から〜

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こんにちは。本連載では、データ流通市場に関連する用語や、業界動向を解説しています。前回まではデータ流通市場の概要についてお伝えしました。今回から分野ごとに解説していきます。最初の話題は「モビリティ」そして「地図」です。

 

地理空間情報の世界では、標準化や、データ取引分析ツールのオープン化が進んでいます。毎日の通勤や買い物から、家族形成、就職/転職、住居購入や老人ホームへの入居、また内戦や気候変動といった長期的な要因まで、人びとは様々な理由で移動しています。

 

移動それ自体がエンターテイメントにもなります。仮想現実(VR)や複合現実(MR)を通じ、現実世界にいながら、移動を疑似体験することもできます。

 

そもそも、人間は一生の間にどれだけ移動するのでしょうか。筆者の歩数計データに基づく歩行距離は年間2,000kmで、20年で地球を1周する計算です。幼少期や後期高齢期の歩数が減っても、生涯でざっくり地球3周はするのでしょう。

 

国内では交通費月平均6万円分、昨年は海外旅行で18,726km分の飛行機の移動も加わりました。何年後かに宇宙へいけるようになったら、さらに距離を稼いで、地球を何十周もするようになるかもしれません!

 

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図表1 移動の類型例とサイトマップ

原始、人はなぜ「移動」したのか?

 

ではどうして、人は移動するのでしょうか。人類は鳥類のように飛んだり、ネコ科のように疾走したり、魚類のように泳いだりもできません。だからこそ、一度に沢山の距離は無理でも、アフリカ大陸から20万年かけ、より暮らしやすい環境を求めて世界中に拡散したといわれます。

 

皮膚の脆弱な人類は、衣類で体温を制御しながら、繰り返された気候変動に耐え、洪水や干ばつから逃れ、より豊かな食料が安定して確保できる土地を目指して、大規模な移動を繰り返したのです。乾燥や寒波で動物たちの死骸が手に入りやすい、中高緯度帯を目指したという説もあります。 

 

blog.sizen-kankyo.com

 

「動物に乗る」民族の登場

 

やがて人類は、紀元前40世紀頃から馬を家畜化。紀元前35世紀には車を引かせ、紀元前10世紀頃には騎乗して移動距離を稼ぐことを覚えます。サバ王国(イエメン)の女王が、数多くのラクダに黄金や香料を積んで、アラビア半島を縦断し、2,000kmも離れたヘブライ王国パレスチナ)のソロモン王を訪問したという伝説があります。

 

紀元前8世紀には、南ロシア平原に人類初の遊牧民族キンメリア人が登場します。[遊牧民 - Wikipedia] 遊牧民の生活は、生産と消費の様式に「移動」を組み込んだ、人類の移動史におけるターニングポイントでした。

 

家畜を時間・空間的に移動させながら、植生、水、ミネラルなどの自然資源を利用して生きること。それを可能にしたのは、身近な「動物」を「乗り物」とみなす、新しい「概念の発明」だったのです。

 

さまざまな「車輪」の発明

 

多くの乗り物は車輪で動きます。もし車輪がなかったら、人間の移動はずいぶん短かく、遅くなったことでしょう。古代の最重要発明ともいわれます。車輪の原型は紀元前50世紀頃からあるといわれますが、紀元前37世紀に登場した荷車が、人力では難しい、重く、大きなモノの持ち運びを可能にします。意外にも、戦車が登場したのは紀元前25世紀のシュメールとされ、馬にまたがるよりずっと古いのです。

 

紀元前20世紀頃に生まれたスポーク [スポーク - Wikipedia]は、それから3,800年ほどを経て、1870年代に「針金スポーク」へと成長します。二輪自転車の登場です。1813年には足で地面を蹴るタイプでしたが、1839年に「ペダル式」が考案され、1861年に前輪にペダルが取り付けられます。1888年ダンロップが空気入りタイヤを発明すると、現代でも使われる「自転車」が実用化されました。[自転車 - Wikipedia]

 

交通機関」が全土に広がる

 

やがて近代に入ると、地球は丸ごと都市化を始めます。

 

馬車、機関車、電車、自動車、オートバイ、セグウェイといった移動・輸送手段(Vehicle)が開発され、普及するにつれ、人々は「公共交通」と「自前の乗り物」を当たり前に使い分けるようになりました。

 

その事情は国ごとにちがいます。日本の公共交通機関は原則「独立採算」ですが、ストラスブールLRT(次世代型路面電車)は、都市圏共同体予算の20%を公共交通に支出するなど、自治体が財政負担する住民サービスとして位置づけられているそうです。[トラム (ストラスブール) - Wikipedia]

 

近年では、より小型で、よりパーソナルな携帯EV(電気自動車)も登場(図表1)。「駐車せずに持ち歩けるので、いつでもあなたの移動をサポート」してくれます。

 

 

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図表2 ココアモーターズの携帯EV

www.cocoamotors.com

 

鉄道網の敷設は、200年以上の歴史を持つ伝統的な都市政策です。1803年のサリー鉄道(馬車)を皮切りに、1825年には世界初の蒸気機関鉄道がストックトンダーリントン間を結び(英国)、1830年にはボルチモア・アンド・オハイオ鉄道が開業(米国)。

 

日本はやや出遅れますが、1872年には新橋・横浜間が結ばれ、1880年代には北海道、四国、九州と各地で鉄道が建設され、1889年には東海道線新橋・神戸間)が全通しました。 [鉄道の歴史 - Wikipedia]

 

鉄道の駅数は2021年4月現在で9,171にまで増え、とりわけ東京圏でどんどん鉄道網が発達します。

 

www.kokudo.or.jp

 

その経緯は、1924年から2020年までの路線図の変遷をまとめた「東京の地下鉄の歴史」 にまとまっています。

 

azisava.sakura.ne.jp

 

日本の鉄道総距離は世界11位の27,182kmで、国土面積の割に充実しています。

 

top10.sakura.ne.jp

 

次回も、鉄道網や自動車産業の視点から、モビリティについて深堀りしていきます。

 

 (著作:清水響子+編集部 編集・構成:編集部)

 

 

私たちが運営するデータマーケットプレイス「JDEX」の詳細はこちら

www.service.jdex.jp

今年からいきなりデジタル活用(DX推進)担当になったひとにおすすめの本――データ活用の14ステップ別に(前編)【連載:Jdexの本棚から】

はじめに

  • 「データの民主化」にまつわる連載書評「Jdexの本棚から」を始めます。
  • 初回は、「データ活用の14ステップ」に沿っておすすめの出版社をご紹介。
  • 全3回に分けて、「国際潮流の理解」から「実践と展開」まで数冊ずつ取り上げます。

 

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連載書評「Jdexの本棚から」を始めます

社員やJDEX運営チームメンバーによる「本」の紹介コーナーです。市販の印刷書籍だけでなく、ウェブ記事や論文、ホワイトペーパー、白書・年鑑なども取り上げます。

 

Jdexのテーマである「日本のデータを民主化する」ことに役立ちそうな「本」なら、基本・入門から定番書、話題作、変わり種、古典、同人誌まで、分けへだてなく取り上げます。



【注意】データ活用に挑む前に

この記事は、次のような方におすすめです。

  • 経営者・取締役の半分以上が、科学的な調査・分析を体験したことがある
  • 「事実」と「思い」を分けて話し合う文化が根づいた職場にいる
  • じぶんが知りたいことの「見当」がついているか、その助言を得やすい
  • データが「手元」にあるか、頼めば「ほどなくして」手に入る
  • それなりに「分類」され、多少は「整理」の行き届いたデータ基盤がある

 

次のような方が挑戦をすると、はじめは思わぬトラブルに遭うことも。

 

  • 経営者・取締役の全員に、科学的な調査・分析の経験が一度もない
  • その場の「空気」と「思いつき」でものごとが決まる
  • 忙しすぎて、「将来予測」「過去のふり返り」に時間を割くひまがない
  • 細かい規則だらけで、ちょっとした依頼にも恐ろしく労力がかかる
  • 残業代が出ない、無給の休日出勤など、労働者の権利が保障されていない

 

もしもあなたの組織が次のようなら、まずは「危機からの脱出」に尽力すべきです。

 

  • 政治闘争やクーデターが起き、長期化しそうだ
  • 財務状態が不安定で、改善の見通しが立たない
  • 文書・データが改竄または検閲されている
  • 汚職や不正、差別が放置されている
  • 基礎的な教育が受けられず、従業員の身の安全が守られない

 

「データの民主化」とは?

「データの民主化」とは、専門家や権力者、資本家だけでなく、だれもが自由に、思いどおりにデータを扱えるようにすることです。データ産業界では、たとえば、次のように説明されます。

 

「データがどこにあっても、どんなデータでも利用でき、誰もがデータを理解し、インサイトを得て、恩恵を受けられるようにすること」(Tableau)

 

「特定の技術・ツールの総称というより、企業内の多くのプレイヤーによるデータ活用の文化、およびその状態を目指す取り組みを示す概念・組織文化」(NTTデータ

 

 

昔の日本をふり返っても、コンピュータが家庭・職場に普及する前の時代から、「知的生産の技術」「推計学のすすめ」「科学的思考」といった言葉はありました。いま思えば、個人にできる「データの民主化」の術を説いていたのでしょう。

 

そう考えると、情報技術のトレンドがどれだけ移り変わっても、世界各地で「データの民主化」が進んでいく歴史は続きそうです。

 

www.chikumashobo.co.jp

 

将来に備えて、データ活用の「知識」蓄積を

それなら、身近な仕事に「データを民主化」する方法を応用すれば、たとえ時代が変わっても、どの国の・どの職場でも働けるようになる気がしませんか。(さすがに言いすぎ?)

 

IT業界の「旬」は移り変わりが激しく、たくさんの新語が現れては消えています。たとえば、スパコン電子図書館ユビキタス、IT革命、Web2.0、オープンデータ、EBPM、データサイエンス、ビッグデータ、IoT、AI、ブロックチェーン量子コンピュータ、DX、NFL、ロボティクス……etc.

 

とはいえ、『インフォメーション―情報技術の人類史―』が太古から現代までを通史したように、どの技術も「データ(記録された事実)」を介して「情報(知りうること)」届ける手段であることには変わりありません。

 

技術の進歩は、次のような私たちの願望を叶えることに寄与し続けてきたし、これからもきっとそうでしょうから。

  • 多くのひとに
  • 安価に・低労力で
  • 速く・即時に
  • きめ細かく・詳しく
  • より長持ちするように

 

www.shinchosha.co.jp

 

おすすめ出版社を「14ステップ別」に

というわけで、連載初回となるこの記事では、幸か不幸か自組織の「データの民主化」を担うことになったビジネスパーソンのみなさまに向けて、おすすめの本と出版社をいくつか紹介します。小学校の新学習指導要領「算数」の参考書や、高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材のように、大人が読んでもためになる本までとりあげます。

 

分類のやり方は、CRISP-DMPPDACをお手本にしました。どちらも昔からある「データ活用の指針」で、いまでもビジネスの現場で使われています。両方のいいところを拝借して、こんな風に分類してみます。

 

  • A.情報収集
    • 01.国際潮流の理解
    • 02.日本市場の現状把握
  • B.問題設定(ビジネス理解)
    • 03.基本戦略
    • 04.組織開発
    • 05.ビジネス課題の特定
  • C.調査計画(データ理解)
    • 06.リサーチデザイン
    • 07.データの探索と吟味
    • 08.データ調達と契約
  • D.データ(データ準備)
    • 09.メタデータ管理
    • 10.データ前処理
    • 11.データパイプライン
  • E.分析(モデル化・評価)
    • 12.統計解析と機械学習(AI)
    • 13.データビジュアライゼーション
  • F.結論づけ(展開・共有)
    • 14.実践と展開

 

 

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先に「実践と展開」から!?

もしもあなたが組織を率いるリーダーなら、部下・同僚に「14.実践と展開」から行うようすすめるのも一考です。常識とは真逆ですが、とにかくあれこれ試してみて、「考えなしには、何も上手くできない!」と体感してもらうことにはなります。

 

ありがちな笑い話ですけど、「国際潮流や市場動向、流行り言葉にはやけに詳しいのに、じぶんでは簡単な表計算すらまともにできない」という方はたくさんいます。そのまま放置していると、いつまで経っても「A.情報収集」「B.問題設定」の次へ進めません。

 

 それどころか、空想上の「最新技術」や根拠のない「楽観見通し」、ありもしない「儲け話」にだまされ続けることにもなりかねない。その積み重ねが、いわゆる「デジタル敗戦」につながったのだとしたら、私たちの世代がそれをくり返すべきではないのでしょう。

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14の失敗リストでつくる「データ戦略の原型」

現場の・実際の・現物による・事実にふれることを、とにかく大切に。「何度でも、ちいさく、たくさん失敗する」ことを優先したいものです。日本ではまだまだ知られていませんが、重要なエッセンスは「DataOps宣言」にまとまっています。

 

仮に、前述したすべての工程でしくじっても、たったの14回で済みます。もし、5月の連休明けから毎週1回2時間ずつまちがえれば、お盆休みまでに終わります。何もせずに一生を棒に振るよりマシですよね。

 

DX推進は法人のダイエットです。先行文献の力を借りて、14の失敗リストをつくりましょう。そのリストは、あなたの組織にしか作れない、本当に役に立つ「データ戦略の原型」になるでしょう。

 

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01.国際潮流の理解

新型コロナウイルス感染症の変異株とワクチン供給の動向によって、各国の社会情勢は大きく変わっていて、世界銀行世界経済見通し』などの年次報告も様相が一変しています。

 

何を参照すべきか明言しづらいものの、デジタル変革(DX)の歴史に話を限れば、スプリンガー社がまとめた『Digital Transformation Now!』が要覧に便利です。ビジネス界向けに、考え方の整理法も収録されていて、ワークショップ手法に応用できます。

 

IT業界でよく参照されるのは、ガートナー『マジック・クアドラント』でしょうか。テクノロジーのハイプサイクルが技術潮流のマッピングだとすると、マジック・クアドラントは製品・サービスの簡易マップです。ブラウザ検索するとたくさん見つかる、分野別の「カオスマップ」と組み合わせるのもおすすめです。

 

私たちの会社が携わるデータ流通の世界でいえば、ガートナー『情報の経済学:競争優位のための情報資産』がよく知られているそうです。Dawexの戦略担当が来日したとき、私たちと昼食をたべている時に教えてくれました。

 

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02.日本市場の現状把握

くれぐれも、「真実」を語るなどとうそぶく、安っぽい陰謀論を鵜呑みにしてはいけません。無料コンテンツとしておすすめできるのは、内閣府白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域の経済等)』です。日本の現状分析がしっかりまとまっています。知るひとぞ知るデータブックとして、総務省日本の統計』もおすすめ。何十種類もの統計が要覧できて、基幹統計の用例としても使えます。

 

もう少し踏み込んで、技術潮流を理解したい場合は? 『角川インターネット講座』のどれか1巻でも読んでみると、気になるIT文化の展望が得られます。最近の注目トピックなら、野村総合研究所「『ITロードマップ』」やアクセンチュアテクノロジートレンド」が明快です。ついに復刊した編集工学研究所『情報の歴史21』も、大局観をつかむのに最適です。

 

国レベルの政策課題は、NewsPicsパブリッシング『シンニホン』に要約されています。ビジネス潮流の変化を論じた日経BP社『アフター・デジタル』と合わせて読むと、現代の日本社会への理解が深まります。

 

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03.基本戦略

坂村健DXとは何か』が、DXとは「その本質は”制度改革”」(帯文より)であり、「結局大事なことは、社会の側もDXを進めるためには自らを変える勇気がないとダメ、ということだ」(本書より)と指摘します。

 

「自らを変える勇気」を持つにはどうすればいいのか。「悲劇」の物語を、アンチパターンとして疑似体験することはおすすめです。ビジネス書やIT読みもの、新書・文庫レーベルを持つ出版社が、ロングセラーをいくつも手がけています。

 

ダイヤモンド社は、100年つづく前からある経済雑誌の老舗として、ビジネスパーソン向けの実用書、自己啓発ライフハックのほかに、硬派な経営書も刊行します。たとえば『人と企業はどこで間違えるのか? 成功と失敗の本質を探る「10の物語」』は、文芸書に引けを取らないほど美しい文章で、ある企業の転換点となった意思決定について、重い教訓を伝える物語を伝えてくれます。中央公論新社失敗の本質』と併読すると、日本と海外の文化のちがいも少し分かります。

 

非-技術者向けのビジネス・ノンフィクションなら、日経BP社の刊行物が充実しています。『デスマーチ 第2版』のような読みやすい指南書のほか、近年の話題書『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」』のように、骨太の企業実録も扱っています。

 

紛争事例に学ぶ、ITユーザの心得』のように、失敗したビジネスの終着点である「裁判」も、リアリティある実例を学べます。本書の出版元である翔泳社は、プログラミング言語の解説書やワンテーマの入門書、ソフトウェア開発手法の手引き、その他の資格書・実用書を多数ラインナップしています。(中編へつづく)

 

(文責・上島邦彦)