日本社会の「わかりあえなさ」と情報共有不足

情報共有不足の社会

新型コロナウイルス感染症の流行は、ビジネスの観点からみても、日本社会が抱える大小の課題を浮き彫りにしたように思います。

国家全体をみると、ブルームバーグ「COVID耐性ランキング」で日本は2位から14位に下落。行政システムの機能不全は「デジタル敗戦」(by日経コンピュータ誌)とさえ呼ばれました。 

たしかに、さまざまな企業や自治体が訴えるデジタル変革(DX)は、内外の反発・対立で足踏みばかり。個々人の生活のデジタル化はネットメディアの利用時間が増えたくらいで、リモートワークは普及途上。日本社会はいまだ「ニューノーマル(新常態)」にたどり着けません。

「理想論」としてのDXやニューノーマル以前に、いまの日本社会には「情報共有」という古くからある問題が巣食っています。

国や行政においては、専門家による分析が行政府に伝わらない、データに基づく報道が信用されない、公的支援制度の情報が市民に届かない。各企業においては、経営者のビジョンが現場に伝わらない、反対に現場が持つ生のデータが経営者に届かない。

国家戦略から会社のチームまで、大小さまざまなレベルで情報共有がなされていないのです。

新型コロナウイルス感染症ファクトシートの作成

壮大なデータ社会を構想する前に、コロナ禍の日本では政治・医療・経済・生活がどう動き変わったのか、問題はどれほど深刻だったのかを理解し、情報共有することが必要なのではないか。

そんな課題意識を持って、私たちは「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を作成しました。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

 本シートは、データマーケットプレイスJDEXに無料登録でどなたでもダウンロードいただけます。

これは2020年度の新型コロナウイルス感染症に関する主要な情報をアーカイブし、簡単にチェックできるよう要約してまとめたものです。

記録された事実は、データ流通の専門家である私たちにとっても力不足を痛感させられることばかりです。しかし「痛いところ」に向き合わなければ、日本にDXもニューノーマルも訪れないでしょう。

組織の「わかりあえなさ」をつなぐには? 研究者と実践家が語り合う場

情報共有においてさらに悩ましいのは、組織と組織が情報をシェアする「データ共用」にあります。同じ組織内でもうまくいかないのに、組織を超えるとなるとさらに難しいことは想像に難くないでしょう。

しかし、情報共有をめぐる問題の本丸はここにあります。さまざまな組織が自分たちの持っているデータをシェアできれば、ひとつの組織だけではできない問題解決に取り組むことができるはずです。

そこで私たちは次のアクションとして、組織間の「わかりあえなさ」をつなぐ情報共有のために必要なことはなにか? どのようなケースがあるか? そんな問いかけを研究者や実践家とともに考えるオンラインの場として「データ流通市場の歩き方」をつくりました。

jdex0624.peatix.com

 本イベントは、データ活用やデータ流通市場を専門とする早矢仕晃章さん(東京大学、データ起点のPRや情報流通のプランニングに取り組む登坂泰斗さん(オズマピーアール株式会社)という強力なゲストを迎えて、次のようなトピックを議論します。

  • まとまらない施策カレンダー、それぞれの評価指標
  • 「類は友を呼ぶ」共有・秘匿データのネットワークから得られる示唆
  • 2020年の日本をふり返る――新型コロナウイルス感染症ファクトシート 

社内の情報共有から一歩踏み出して社外データを活用したり、インターネットやソーシャルメディアのオープンなデータを使ったりしてみたいといった現場の課題を抱える方から、DX推進に資するパートナーシップ形成の相手を見つけたい、自社の成長に必要なデータ戦略を考えたいといった全社レベルの課題を抱える方まで、どなたにも参考になる議論ができたらと考えています。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を公開します!また関連データの情報提供者を募集します。

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株式会社日本データ取引所は、2020年度の新型コロナウイルス感染症に関する主要な情報を要約した新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を、データ売買マーケットプレイス「JDEX」上で公開します。またファクトシートに掲載するグラフ・図表や元データを募集します。

 

j-dex.co.jp

 概要

日本国内では、新型コロナウイルス感染症の人口10万人あたりの新規感染者数が15都道府県で「ステージ3」となる一方、ワクチン接種は数か月かけて徐々に進む見通しです。そうしたなか、昨年から続くコロナ禍の動向をふり返るとともに、後世に残すべきアーカイヴ構築の第一歩とするため、本シートで基本的な時系列を見やすくおさらいできるようにしました。

 

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報道・世論は昨春に急騰したが、感染者が急増したのは秋・冬にかけて


グラフには、日本と世界の新規感染者数と、ニュース記事・インターネット検索・SNS投稿の件数推移を指数で表しました。


また「日本のできごと年表」には、政治・経済・医療・文化の4区分で、日本国内の主要なできごとを一覧にしています。

 

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感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめました

 

背景

株式会社日本データ取引所は、データマーケットプレイス事業の拡大と、社会的意義のあるキュレーション活動を行うため、「新型コロナウイルス感染症」に関するデータのリスト作成を進めてきました。


これは、欧米圏で先行するデータ・ライブラリ構築の日本版に当たると考えています。たとえば、Our World in Data「Coronavirus Pandemic」、Dawex「COVID-19 Data Exchange Initiative」などの取り組みがあります。

 

ourworldindata.org

www.covid19-dataexchange.org


すでに150種ほどのデータを発見しておりまして、さらなる発展のため、このたび「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を作成し、より多くの方にデータ提供・利用を呼びかけることにいたしました。データ売買マーケットプレイス「JDEX」上で無料配布いたします。くわしくは下記サービス紹介サイトをご確認の上、お申込みをお願いいたします。

  

www.service.jdex.jp 

今後に向けて

当社は、今後もファクトシートの更新をつづけます。情報提供いただける方は、当社窓口までお問合せください。自薦・他薦を問いません。発見済のデータをお持ちの方には、私どもからもお声がけする予定です。


お寄せいただいた情報をもとに、このファクトシートに新たにページをつけ加え、コロナ禍の社会変化を知るためのデータを募集し、図表・グラフにして掲載します。


また、データマーケットプレイス「JDEX」や関連セミナーでも紹介します。ご関心のある方は、この機会にぜひご参加ください!

 

 

お問い合わせ先:株式会社日本データ取引所(Japan Data Exchange Inc. 通称:Jdex)
メールアドレス:info[at]j-dex.co.jp

【連載:データ流通ことはじめ】地図とモビリティの未来を考える! 第1回 イントロダクション〜道路交通ビジネスの歴史から〜

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こんにちは。本連載では、データ流通市場に関連する用語や、業界動向を解説しています。前回まではデータ流通市場の概要についてお伝えしました。今回から分野ごとに解説していきます。最初の話題は「モビリティ」そして「地図」です。

 

地理空間情報の世界では、標準化や、データ取引分析ツールのオープン化が進んでいます。毎日の通勤や買い物から、家族形成、就職/転職、住居購入や老人ホームへの入居、また内戦や気候変動といった長期的な要因まで、人びとは様々な理由で移動しています。

 

移動それ自体がエンターテイメントにもなります。仮想現実(VR)や複合現実(MR)を通じ、現実世界にいながら、移動を疑似体験することもできます。

 

そもそも、人間は一生の間にどれだけ移動するのでしょうか。筆者の歩数計データに基づく歩行距離は年間2,000kmで、20年で地球を1周する計算です。幼少期や後期高齢期の歩数が減っても、生涯でざっくり地球3周はするのでしょう。

 

国内では交通費月平均6万円分、昨年は海外旅行で18,726km分の飛行機の移動も加わりました。何年後かに宇宙へいけるようになったら、さらに距離を稼いで、地球を何十周もするようになるかもしれません!

 

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図表1 移動の類型例とサイトマップ

原始、人はなぜ「移動」したのか?

 

ではどうして、人は移動するのでしょうか。人類は鳥類のように飛んだり、ネコ科のように疾走したり、魚類のように泳いだりもできません。だからこそ、一度に沢山の距離は無理でも、アフリカ大陸から20万年かけ、より暮らしやすい環境を求めて世界中に拡散したといわれます。

 

皮膚の脆弱な人類は、衣類で体温を制御しながら、繰り返された気候変動に耐え、洪水や干ばつから逃れ、より豊かな食料が安定して確保できる土地を目指して、大規模な移動を繰り返したのです。乾燥や寒波で動物たちの死骸が手に入りやすい、中高緯度帯を目指したという説もあります。 

 

blog.sizen-kankyo.com

 

「動物に乗る」民族の登場

 

やがて人類は、紀元前40世紀頃から馬を家畜化。紀元前35世紀には車を引かせ、紀元前10世紀頃には騎乗して移動距離を稼ぐことを覚えます。サバ王国(イエメン)の女王が、数多くのラクダに黄金や香料を積んで、アラビア半島を縦断し、2,000kmも離れたヘブライ王国パレスチナ)のソロモン王を訪問したという伝説があります。

 

紀元前8世紀には、南ロシア平原に人類初の遊牧民族キンメリア人が登場します。[遊牧民 - Wikipedia] 遊牧民の生活は、生産と消費の様式に「移動」を組み込んだ、人類の移動史におけるターニングポイントでした。

 

家畜を時間・空間的に移動させながら、植生、水、ミネラルなどの自然資源を利用して生きること。それを可能にしたのは、身近な「動物」を「乗り物」とみなす、新しい「概念の発明」だったのです。

 

さまざまな「車輪」の発明

 

多くの乗り物は車輪で動きます。もし車輪がなかったら、人間の移動はずいぶん短かく、遅くなったことでしょう。古代の最重要発明ともいわれます。車輪の原型は紀元前50世紀頃からあるといわれますが、紀元前37世紀に登場した荷車が、人力では難しい、重く、大きなモノの持ち運びを可能にします。意外にも、戦車が登場したのは紀元前25世紀のシュメールとされ、馬にまたがるよりずっと古いのです。

 

紀元前20世紀頃に生まれたスポーク [スポーク - Wikipedia]は、それから3,800年ほどを経て、1870年代に「針金スポーク」へと成長します。二輪自転車の登場です。1813年には足で地面を蹴るタイプでしたが、1839年に「ペダル式」が考案され、1861年に前輪にペダルが取り付けられます。1888年ダンロップが空気入りタイヤを発明すると、現代でも使われる「自転車」が実用化されました。[自転車 - Wikipedia]

 

交通機関」が全土に広がる

 

やがて近代に入ると、地球は丸ごと都市化を始めます。

 

馬車、機関車、電車、自動車、オートバイ、セグウェイといった移動・輸送手段(Vehicle)が開発され、普及するにつれ、人々は「公共交通」と「自前の乗り物」を当たり前に使い分けるようになりました。

 

その事情は国ごとにちがいます。日本の公共交通機関は原則「独立採算」ですが、ストラスブールLRT(次世代型路面電車)は、都市圏共同体予算の20%を公共交通に支出するなど、自治体が財政負担する住民サービスとして位置づけられているそうです。[トラム (ストラスブール) - Wikipedia]

 

近年では、より小型で、よりパーソナルな携帯EV(電気自動車)も登場(図表1)。「駐車せずに持ち歩けるので、いつでもあなたの移動をサポート」してくれます。

 

 

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図表2 ココアモーターズの携帯EV

www.cocoamotors.com

 

鉄道網の敷設は、200年以上の歴史を持つ伝統的な都市政策です。1803年のサリー鉄道(馬車)を皮切りに、1825年には世界初の蒸気機関鉄道がストックトンダーリントン間を結び(英国)、1830年にはボルチモア・アンド・オハイオ鉄道が開業(米国)。

 

日本はやや出遅れますが、1872年には新橋・横浜間が結ばれ、1880年代には北海道、四国、九州と各地で鉄道が建設され、1889年には東海道線新橋・神戸間)が全通しました。 [鉄道の歴史 - Wikipedia]

 

鉄道の駅数は2021年4月現在で9,171にまで増え、とりわけ東京圏でどんどん鉄道網が発達します。

 

www.kokudo.or.jp

 

その経緯は、1924年から2020年までの路線図の変遷をまとめた「東京の地下鉄の歴史」 にまとまっています。

 

azisava.sakura.ne.jp

 

日本の鉄道総距離は世界11位の27,182kmで、国土面積の割に充実しています。

 

top10.sakura.ne.jp

 

次回も、鉄道網や自動車産業の視点から、モビリティについて深堀りしていきます。

 

 (著作:清水響子+編集部 編集・構成:編集部)

 

 

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今年からいきなりデジタル活用(DX推進)担当になったひとにおすすめの本――データ活用の14ステップ別に(前編)【連載:Jdexの本棚から】

はじめに

  • 「データの民主化」にまつわる連載書評「Jdexの本棚から」を始めます。
  • 初回は、「データ活用の14ステップ」に沿っておすすめの出版社をご紹介。
  • 全3回に分けて、「国際潮流の理解」から「実践と展開」まで数冊ずつ取り上げます。

 

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連載書評「Jdexの本棚から」を始めます

社員やJDEX運営チームメンバーによる「本」の紹介コーナーです。市販の印刷書籍だけでなく、ウェブ記事や論文、ホワイトペーパー、白書・年鑑なども取り上げます。

 

Jdexのテーマである「日本のデータを民主化する」ことに役立ちそうな「本」なら、基本・入門から定番書、話題作、変わり種、古典、同人誌まで、分けへだてなく取り上げます。



【注意】データ活用に挑む前に

この記事は、次のような方におすすめです。

  • 経営者・取締役の半分以上が、科学的な調査・分析を体験したことがある
  • 「事実」と「思い」を分けて話し合う文化が根づいた職場にいる
  • じぶんが知りたいことの「見当」がついているか、その助言を得やすい
  • データが「手元」にあるか、頼めば「ほどなくして」手に入る
  • それなりに「分類」され、多少は「整理」の行き届いたデータ基盤がある

 

次のような方が挑戦をすると、はじめは思わぬトラブルに遭うことも。

 

  • 経営者・取締役の全員に、科学的な調査・分析の経験が一度もない
  • その場の「空気」と「思いつき」でものごとが決まる
  • 忙しすぎて、「将来予測」「過去のふり返り」に時間を割くひまがない
  • 細かい規則だらけで、ちょっとした依頼にも恐ろしく労力がかかる
  • 残業代が出ない、無給の休日出勤など、労働者の権利が保障されていない

 

もしもあなたの組織が次のようなら、まずは「危機からの脱出」に尽力すべきです。

 

  • 政治闘争やクーデターが起き、長期化しそうだ
  • 財務状態が不安定で、改善の見通しが立たない
  • 文書・データが改竄または検閲されている
  • 汚職や不正、差別が放置されている
  • 基礎的な教育が受けられず、従業員の身の安全が守られない

 

「データの民主化」とは?

「データの民主化」とは、専門家や権力者、資本家だけでなく、だれもが自由に、思いどおりにデータを扱えるようにすることです。データ産業界では、たとえば、次のように説明されます。

 

「データがどこにあっても、どんなデータでも利用でき、誰もがデータを理解し、インサイトを得て、恩恵を受けられるようにすること」(Tableau)

 

「特定の技術・ツールの総称というより、企業内の多くのプレイヤーによるデータ活用の文化、およびその状態を目指す取り組みを示す概念・組織文化」(NTTデータ

 

 

昔の日本をふり返っても、コンピュータが家庭・職場に普及する前の時代から、「知的生産の技術」「推計学のすすめ」「科学的思考」といった言葉はありました。いま思えば、個人にできる「データの民主化」の術を説いていたのでしょう。

 

そう考えると、情報技術のトレンドがどれだけ移り変わっても、世界各地で「データの民主化」が進んでいく歴史は続きそうです。

 

www.chikumashobo.co.jp

 

将来に備えて、データ活用の「知識」蓄積を

それなら、身近な仕事に「データを民主化」する方法を応用すれば、たとえ時代が変わっても、どの国の・どの職場でも働けるようになる気がしませんか。(さすがに言いすぎ?)

 

IT業界の「旬」は移り変わりが激しく、たくさんの新語が現れては消えています。たとえば、スパコン電子図書館ユビキタス、IT革命、Web2.0、オープンデータ、EBPM、データサイエンス、ビッグデータ、IoT、AI、ブロックチェーン量子コンピュータ、DX、NFL、ロボティクス……etc.

 

とはいえ、『インフォメーション―情報技術の人類史―』が太古から現代までを通史したように、どの技術も「データ(記録された事実)」を介して「情報(知りうること)」届ける手段であることには変わりありません。

 

技術の進歩は、次のような私たちの願望を叶えることに寄与し続けてきたし、これからもきっとそうでしょうから。

  • 多くのひとに
  • 安価に・低労力で
  • 速く・即時に
  • きめ細かく・詳しく
  • より長持ちするように

 

www.shinchosha.co.jp

 

おすすめ出版社を「14ステップ別」に

というわけで、連載初回となるこの記事では、幸か不幸か自組織の「データの民主化」を担うことになったビジネスパーソンのみなさまに向けて、おすすめの本と出版社をいくつか紹介します。小学校の新学習指導要領「算数」の参考書や、高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材のように、大人が読んでもためになる本までとりあげます。

 

分類のやり方は、CRISP-DMPPDACをお手本にしました。どちらも昔からある「データ活用の指針」で、いまでもビジネスの現場で使われています。両方のいいところを拝借して、こんな風に分類してみます。

 

  • A.情報収集
    • 01.国際潮流の理解
    • 02.日本市場の現状把握
  • B.問題設定(ビジネス理解)
    • 03.基本戦略
    • 04.組織開発
    • 05.ビジネス課題の特定
  • C.調査計画(データ理解)
    • 06.リサーチデザイン
    • 07.データの探索と吟味
    • 08.データ調達と契約
  • D.データ(データ準備)
    • 09.メタデータ管理
    • 10.データ前処理
    • 11.データパイプライン
  • E.分析(モデル化・評価)
    • 12.統計解析と機械学習(AI)
    • 13.データビジュアライゼーション
  • F.結論づけ(展開・共有)
    • 14.実践と展開

 

 

www.poplar.co.jp

 

先に「実践と展開」から!?

もしもあなたが組織を率いるリーダーなら、部下・同僚に「14.実践と展開」から行うようすすめるのも一考です。常識とは真逆ですが、とにかくあれこれ試してみて、「考えなしには、何も上手くできない!」と体感してもらうことにはなります。

 

ありがちな笑い話ですけど、「国際潮流や市場動向、流行り言葉にはやけに詳しいのに、じぶんでは簡単な表計算すらまともにできない」という方はたくさんいます。そのまま放置していると、いつまで経っても「A.情報収集」「B.問題設定」の次へ進めません。

 

 それどころか、空想上の「最新技術」や根拠のない「楽観見通し」、ありもしない「儲け話」にだまされ続けることにもなりかねない。その積み重ねが、いわゆる「デジタル敗戦」につながったのだとしたら、私たちの世代がそれをくり返すべきではないのでしょう。

www.chuko.co.jp

 

14の失敗リストでつくる「データ戦略の原型」

現場の・実際の・現物による・事実にふれることを、とにかく大切に。「何度でも、ちいさく、たくさん失敗する」ことを優先したいものです。日本ではまだまだ知られていませんが、重要なエッセンスは「DataOps宣言」にまとまっています。

 

仮に、前述したすべての工程でしくじっても、たったの14回で済みます。もし、5月の連休明けから毎週1回2時間ずつまちがえれば、お盆休みまでに終わります。何もせずに一生を棒に振るよりマシですよね。

 

DX推進は法人のダイエットです。先行文献の力を借りて、14の失敗リストをつくりましょう。そのリストは、あなたの組織にしか作れない、本当に役に立つ「データ戦略の原型」になるでしょう。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

01.国際潮流の理解

新型コロナウイルス感染症の変異株とワクチン供給の動向によって、各国の社会情勢は大きく変わっていて、世界銀行世界経済見通し』などの年次報告も様相が一変しています。

 

何を参照すべきか明言しづらいものの、デジタル変革(DX)の歴史に話を限れば、スプリンガー社がまとめた『Digital Transformation Now!』が要覧に便利です。ビジネス界向けに、考え方の整理法も収録されていて、ワークショップ手法に応用できます。

 

IT業界でよく参照されるのは、ガートナー『マジック・クアドラント』でしょうか。テクノロジーのハイプサイクルが技術潮流のマッピングだとすると、マジック・クアドラントは製品・サービスの簡易マップです。ブラウザ検索するとたくさん見つかる、分野別の「カオスマップ」と組み合わせるのもおすすめです。

 

私たちの会社が携わるデータ流通の世界でいえば、ガートナー『情報の経済学:競争優位のための情報資産』がよく知られているそうです。Dawexの戦略担当が来日したとき、私たちと昼食をたべている時に教えてくれました。

 

www.gartner.com

 

02.日本市場の現状把握

くれぐれも、「真実」を語るなどとうそぶく、安っぽい陰謀論を鵜呑みにしてはいけません。無料コンテンツとしておすすめできるのは、内閣府白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域の経済等)』です。日本の現状分析がしっかりまとまっています。知るひとぞ知るデータブックとして、総務省日本の統計』もおすすめ。何十種類もの統計が要覧できて、基幹統計の用例としても使えます。

 

もう少し踏み込んで、技術潮流を理解したい場合は? 『角川インターネット講座』のどれか1巻でも読んでみると、気になるIT文化の展望が得られます。最近の注目トピックなら、野村総合研究所「『ITロードマップ』」やアクセンチュアテクノロジートレンド」が明快です。ついに復刊した編集工学研究所『情報の歴史21』も、大局観をつかむのに最適です。

 

国レベルの政策課題は、NewsPicsパブリッシング『シンニホン』に要約されています。ビジネス潮流の変化を論じた日経BP社『アフター・デジタル』と合わせて読むと、現代の日本社会への理解が深まります。

 

shop.eel.co.jp

 

03.基本戦略

坂村健DXとは何か』が、DXとは「その本質は”制度改革”」(帯文より)であり、「結局大事なことは、社会の側もDXを進めるためには自らを変える勇気がないとダメ、ということだ」(本書より)と指摘します。

 

「自らを変える勇気」を持つにはどうすればいいのか。「悲劇」の物語を、アンチパターンとして疑似体験することはおすすめです。ビジネス書やIT読みもの、新書・文庫レーベルを持つ出版社が、ロングセラーをいくつも手がけています。

 

ダイヤモンド社は、100年つづく前からある経済雑誌の老舗として、ビジネスパーソン向けの実用書、自己啓発ライフハックのほかに、硬派な経営書も刊行します。たとえば『人と企業はどこで間違えるのか? 成功と失敗の本質を探る「10の物語」』は、文芸書に引けを取らないほど美しい文章で、ある企業の転換点となった意思決定について、重い教訓を伝える物語を伝えてくれます。中央公論新社失敗の本質』と併読すると、日本と海外の文化のちがいも少し分かります。

 

非-技術者向けのビジネス・ノンフィクションなら、日経BP社の刊行物が充実しています。『デスマーチ 第2版』のような読みやすい指南書のほか、近年の話題書『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」』のように、骨太の企業実録も扱っています。

 

紛争事例に学ぶ、ITユーザの心得』のように、失敗したビジネスの終着点である「裁判」も、リアリティある実例を学べます。本書の出版元である翔泳社は、プログラミング言語の解説書やワンテーマの入門書、ソフトウェア開発手法の手引き、その他の資格書・実用書を多数ラインナップしています。(中編へつづく)

 

(文責・上島邦彦)

【連載:データ流通ことはじめ】データ流通はなぜ注目される?(後編)

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こんにちは、「データ流通市場の歩き方」編集部の小澤です。

 

前回の記事に引続き、本記事では、「データ流通」という言葉のあたらしい用法について説明していきます。

 

4. 組織の知識・人材ネットワーク形成

株式・証券のようにデータを「交換財」として売買するのではなく、「知るべき人のところにきちんと情報が行き渡ること」や、「世の中や組織の中にあるデータをきちんと使いこなすこと」を指す場合もあります。

 

「社内のデータ流通が停滞している」といえば、データの売買が進んでいないのではなく、職場のファイル管理や知識マネジメント、報告・連絡・相談フローの渋滞、社内データベースの使いづらさなどを暗に意味しています。日本の組織は他の先進国と比べてIT化が遅れているとされ、華やかなトレンドワードに隠れた、根深い問題がそこにはあります。

 

5. 情報システムのより簡便・迅速・広範な連携

 APIを介したデータの連携や、データマネジメントプラットフォーム間で顧客データ、オーディエンスデータを受け渡すときにも、「流通」という語が用いられます。より簡単に、スピーディーに、幅広い関係者間で情報をやり取りする製品・サービスを論じる際に、データエクスチェンジ、データフロー、データパイプラインといった用語が使われます。古くからあるITコンサルティングの一分野として、「データ流通」に関心が寄せられているのです。

 

6. 法人向けデジタルコンテンツの流通増

データを活用するというと、たくさんの数値や統計表、難しい数式を扱うと思われがちです。しかしそれだけではなく、音声や動画、資料など、デジタルコンテンツの流通が法人間で増えていくことも、データ流通の活性化につながる道すじと言えます。若年世代はスマートフォンでの動画コミュニケーションや、メタバースに没入するゲーム体験に慣れ親しんでいます。年長世代がそれらの流行に気づき、理解して、組織に新しい価値観を広めていくこと。これも広い意味での「データ流通」だと言えるでしょう。

  

さいごに

このように、「データ流通」という語だけとっても、さまざまな文脈で多様なことを表現するために使われています。「データ流通市場」という言葉もまだまだマイナーで、世間に知られているとは言えません。よく似た言葉も生まれては消えていく一方で、データ取引市場、データ市場、データマーケット、データマーケットプレイス、データエクスチェンジプラットフォームなど枚挙に暇がありません。

「データ流通市場の歩き方」編集部では、実体のない言葉を言いふらすのではなく、現場の最前線で起きていることを、業界ごとの事情、歴史とのつながり、文化のちがいを尊重しながら、時代の流れをより長い目で追いかけられる記事づくりに取り組んでいきます。

 

次回からは、「地図とモビリティの未来」をテーマに、「地理・道路交通・自動車」に関する動向を紹介していきます!

 

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【連載:データ流通ことはじめ】データ流通はなぜ注目される?(前編)

 

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こんにちは、「データ流通市場の歩き方」編集部の小澤です。

 

前回は、「データ流通」という言葉には6つのあたらしい用法があると書きました。今回はそのうち、「1. 国際的なデジタル経済圏の協調・競争枠組み」「2. 高機能端末、次世代通信網、機械学習の戦略PR」「3. IT投資促進のための政策メッセージ」の3つを説明します。

 

1. 国際的なデジタル経済圏の協調枠組み

 国家間のパーソナルデータの流通を含め、国際的なデジタル経済圏の協調枠組みをどう作っていくか。この問題は、新型コロナウィルス感染症の流行下にある国際社会にとって、極めて重要な政治イシューになりました。

 

Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoftなど米国発のグローバルIT企業に対する各国政府の影響力が強まる一方で、アリババ、バイドゥ、テンセントなど中国発の企業も成長を続けていて、米国・EU・中国・日本は、それぞれ得意分野の技術標準化や法整備、産業育成に努めています。

 

参考例:割れるインターネット 米中逆転の情報勢力図

vdata.nikkei.com

 

2. 新しい情報技術の戦略PRコンセプト

 

昨今出てきた高機能な端末(IoTデバイス)や次世代通信システム(5G)、機械学習(AI)を、世の中に広めるキーワードとしても使われます。さまざまな機器・サービスを安心して使うには、安全なデータの流通ができるネットワーク、セキュリティ、ガバナンスが欠かせません。データ品質、データマネジメント(データ管理)、来歴管理(データリネージュ)など関連技術の開発も盛んで、活況を呈する分野です。

3. IT投資促進のための政策メッセージ

 

国の情報政策に関わる省庁が、日本の民間企業や自治体、学校にIT投資を促すために、政策メッセージとして「データ流通」を掲げることがあります。業界団体の運営や戦略パートナーシップの形成、産学共同研究、行政のデジタル化(DX推進)などを進めるときでも、最後に鍵を握るのは、やはり一つひとつのデータなのです。

 

 

次回は、残りの3つを説明します!

 

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【連載:データ流通ことはじめ】データ流通ってなんだろう?

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こんにちは、「データ流通市場の歩き方」編集部の小澤です。

 

私たち株式会社日本データ取引所は、「日本のデータを民主化する」を企業理念(ミッション)として、データ流通市場の運営にとりくんでいます――と言うと、よく聞かれます。

 

「そもそも『データ流通』とは何なのでしょうか。データ分析とのちがいは? データ活用との関係は?」

 

IT用語によくあるように、「データ流通」という言葉は、話し手や文脈によって微妙に意味がちがって、一般にはまだあまり知られていません。

 

そこで今回は、この言葉の歴史と、近年の用法について説明します!

 

「データ流通」という言葉の歴史

語源は諸説あるものの、「データ流通」の訳語には、data distribution, data circulation, data flow, data exchange, data flowといった単語が用いられていて、19世紀にはすでに用例が見られます(Google N-gramで当社調べ)。

 

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しかし、「データ流通」という言葉が活発に使われ出したのは、1950年代以降のことです。コンピュータの研究開発が進むにつれて、少しずつ一般に使われる語になりました。

 

どの語も人気のピークは1980年代後半から1990年代前半にかけて。これは家庭用パソコンの登場と重なります。

 

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その後は、ネット利用の普及(Internet, Web, Social media)に関心が移り、「データ流通」にまつわる言葉の使用は、いったん落ちつきます。

 

ところが、2018年頃から再び上昇する兆しが見られます。どうやら新しい用法が定着しつつあるようなのです。

 

「データ流通」6つの用法

編集部が調べたところ、それらのあたらしい用法は、おおよそ6つの観点で使われていました。

 

  1. 国際的なデジタル経済圏の協調枠組み
  1. 新しい情報技術の戦略PRコンセプト
  1. IT投資促進のための政策メッセージ
  1. 組織の知識・人材ネットワーク形成
  1. 情報システムのより簡便・迅速・広範な連携
  1. 法人向けデジタルコンテンツの流通増

 

身近なビジネストピックから国際動向まで、幅広い意味で使われているようです。ややこしいですね……。次回から、2記事にわけて説明していきます!

 

 

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