データ流通市場の歩き方

株式会社日本データ取引所の公式ブログです。

日本社会の「わかりあえなさ」と情報共有不足

情報共有不足の社会

新型コロナウイルス感染症の流行は、ビジネスの観点からみても、日本社会が抱える大小の課題を浮き彫りにしたように思います。

国家全体をみると、ブルームバーグ「COVID耐性ランキング」で日本は2位から14位に下落。行政システムの機能不全は「デジタル敗戦」(by日経コンピュータ誌)とさえ呼ばれました。 

たしかに、さまざまな企業や自治体が訴えるデジタル変革(DX)は、内外の反発・対立で足踏みばかり。個々人の生活のデジタル化はネットメディアの利用時間が増えたくらいで、リモートワークは普及途上。日本社会はいまだ「ニューノーマル(新常態)」にたどり着けません。

「理想論」としてのDXやニューノーマル以前に、いまの日本社会には「情報共有」という古くからある問題が巣食っています。

国や行政においては、専門家による分析が行政府に伝わらない、データに基づく報道が信用されない、公的支援制度の情報が市民に届かない。各企業においては、経営者のビジョンが現場に伝わらない、反対に現場が持つ生のデータが経営者に届かない。

国家戦略から会社のチームまで、大小さまざまなレベルで情報共有がなされていないのです。

新型コロナウイルス感染症ファクトシートの作成

壮大なデータ社会を構想する前に、コロナ禍の日本では政治・医療・経済・生活がどう動き変わったのか、問題はどれほど深刻だったのかを理解し、情報共有することが必要なのではないか。

そんな課題意識を持って、私たちは「新型コロナウイルス感染症ファクトシート」を作成しました。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

感染が日本で拡大し、最初の緊急事態宣言が発出されるまでの出来事をまとめた年表。

 本シートは、データマーケットプレイスJDEXに無料登録でどなたでもダウンロードいただけます。

これは2020年度の新型コロナウイルス感染症に関する主要な情報をアーカイブし、簡単にチェックできるよう要約してまとめたものです。

記録された事実は、データ流通の専門家である私たちにとっても力不足を痛感させられることばかりです。しかし「痛いところ」に向き合わなければ、日本にDXもニューノーマルも訪れないでしょう。

組織の「わかりあえなさ」をつなぐには? 研究者と実践家が語り合う場

情報共有においてさらに悩ましいのは、組織と組織が情報をシェアする「データ共用」にあります。同じ組織内でもうまくいかないのに、組織を超えるとなるとさらに難しいことは想像に難くないでしょう。

しかし、情報共有をめぐる問題の本丸はここにあります。さまざまな組織が自分たちの持っているデータをシェアできれば、ひとつの組織だけではできない問題解決に取り組むことができるはずです。

そこで私たちは次のアクションとして、組織間の「わかりあえなさ」をつなぐ情報共有のために必要なことはなにか? どのようなケースがあるか? そんな問いかけを研究者や実践家とともに考えるオンラインの場として「データ流通市場の歩き方」をつくりました。

jdex0624.peatix.com

 本イベントは、データ活用やデータ流通市場を専門とする早矢仕晃章さん(東京大学、データ起点のPRや情報流通のプランニングに取り組む登坂泰斗さん(オズマピーアール株式会社)という強力なゲストを迎えて、次のようなトピックを議論します。

  • まとまらない施策カレンダー、それぞれの評価指標
  • 「類は友を呼ぶ」共有・秘匿データのネットワークから得られる示唆
  • 2020年の日本をふり返る――新型コロナウイルス感染症ファクトシート 

社内の情報共有から一歩踏み出して社外データを活用したり、インターネットやソーシャルメディアのオープンなデータを使ったりしてみたいといった現場の課題を抱える方から、DX推進に資するパートナーシップ形成の相手を見つけたい、自社の成長に必要なデータ戦略を考えたいといった全社レベルの課題を抱える方まで、どなたにも参考になる議論ができたらと考えています。

ご興味のある方はぜひご参加ください。