データ流通市場の歩き方

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【連載:データ流通ことはじめ】(2)「データ流通」6つの新用法

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こんにちは、「データ流通市場の歩き方」編集部の小澤です。

 

前回は、「データ流通」という言葉には6つのあたらしい用法があると書きました。今回の記事では、それらを一つひとつ説明します。

 

「データ流通」の用法(1) 国際的なデジタル経済圏の協調枠組み

 国家間のパーソナルデータの流通を含め、国際的なデジタル経済圏の協調枠組みをどう作っていくか。この問題は、新型コロナウィルス感染症の流行下にある国際社会にとって、極めて重要な政治イシューになりました。

 

Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoftなど米国発のグローバルIT企業に対する各国政府の影響力が強まる一方で、アリババ、バイドゥ、テンセントなど中国発の企業も成長を続けていて、米国・EU・中国・日本は、それぞれ得意分野の技術標準化や法整備、産業育成に努めています。

 

参考例:割れるインターネット 米中逆転の情報勢力図

vdata.nikkei.com

 

「データ流通」の用法(2)新しい情報技術の戦略PRコンセプト

昨今出てきた高機能な端末(IoTデバイス)や次世代通信システム(5G)、機械学習(AI)を、世の中に広めるキーワードとしても使われます。さまざまな機器・サービスを安心して使うには、安全なデータの流通ができるネットワーク、セキュリティ、ガバナンスが欠かせません。データ品質、データマネジメント(データ管理)、来歴管理(データリネージュ)など関連技術の開発も盛んで、活況を呈する分野です。

 

「データ流通」の用法(3)IT投資促進のための政策メッセージ

国の情報政策に関わる省庁が、日本の民間企業や自治体、学校にIT投資を促すために、政策メッセージとして「データ流通」を掲げることがあります。業界団体の運営や戦略パートナーシップの形成、産学共同研究、行政のデジタル化(DX推進)などを進めるときでも、最後に鍵を握るのは、やはり一つひとつのデータなのです。

 

「データ流通」の用法(4)組織の知識・人材ネットワーク形成

株式・証券のようにデータを「交換財」として売買するのではなく、「知るべき人のところにきちんと情報が行き渡ること」や、「世の中や組織の中にあるデータをきちんと使いこなすこと」を指す場合もあります。

 

「社内のデータ流通が停滞している」といえば、データの売買が進んでいないのではなく、職場のファイル管理や知識マネジメント、報告・連絡・相談フローの渋滞、社内データベースの使いづらさなどを暗に意味しています。日本の組織は他の先進国と比べてIT化が遅れているとされ、華やかなトレンドワードに隠れた、根深い問題がそこにはあります。

 

「データ流通」の用法(5)情報システムのより簡便・迅速・広範な連携

 APIを介したデータの連携や、データマネジメントプラットフォーム間で顧客データ、オーディエンスデータを受け渡すときにも、「流通」という語が用いられます。より簡単に、スピーディーに、幅広い関係者間で情報をやり取りする製品・サービスを論じる際に、データエクスチェンジ、データフロー、データパイプラインといった用語が使われます。古くからあるITコンサルティングの一分野として、「データ流通」に関心が寄せられているのです。

 

「データ流通」の用法(6)法人向けデジタルコンテンツの流通増

データを活用するというと、たくさんの数値や統計表、難しい数式を扱うと思われがちです。しかしそれだけではなく、音声や動画、資料など、デジタルコンテンツの流通が法人間で増えていくことも、データ流通の活性化につながる道すじと言えます。若年世代はスマートフォンでの動画コミュニケーションや、メタバースに没入するゲーム体験に慣れ親しんでいます。年長世代がそれらの流行に気づき、理解して、組織に新しい価値観を広めていくこと。これも広い意味での「データ流通」だと言えるでしょう。

  

さいごに

このように、「データ流通」という語だけとっても、さまざまな文脈で多様なことを表現するために使われています。「データ流通市場」という言葉もまだまだマイナーで、世間に知られているとは言えません。よく似た言葉も生まれては消えていく一方で、データ取引市場、データ市場、データマーケット、データマーケットプレイス、データエクスチェンジプラットフォームなど枚挙に暇がありません。
「データ流通市場の歩き方」編集部では、実体のない言葉を言いふらすのではなく、現場の最前線で起きていることを、業界ごとの事情、歴史とのつながり、文化のちがいを尊重しながら、時代の流れをより長い目で追いかけられる記事づくりに取り組んでいきます。

 

次回からは、「地図とモビリティの未来」をテーマに、「地理・道路交通・自動車」に関する動向を紹介していきます!

▼次回記事はこちら

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