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【連載:データ流通ことはじめ】(8)試される日本の都市計画 #1 地球が丸ごと都市化する?

データ流通ことはじめバナー画像こんにちは。本連載では、データ流通市場に関連する用語や、業界動向を解説しています。第3回から前回までは「地図とモビリティ」をテーマに、データ活用にまつわる情報をお伝えしてきました。

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さて、今回からは「住まいと安全」という新しいテーマに取り組みます。まずは、地球の都市化に焦点を当ててみましょう

地球が「都市化」を始めた21世紀、住まいの安全をどう守るか

地球が「都市化」を始めています。先進国では海外への渡航者数が右肩上がりし、東アジアや中東、アフリカで都市開発が急速に進む見通し。かたや日本では、少子高齢化に伴う地方郊外の人口減少・過疎化が確実視され、「住みやすい都市」の在り方が根底から揺らいでいます。スマートシティ、シェアリングシティ、レジリエンスマネジメントなどの関連用語を紐解きながら、都市・住宅分野のデータ活用の最近を概観します。

世界的な人口増による「都市」の拡大

21世紀は、地球のあちこちで「都市」が増殖する時代となるでしょう。簡単にいえば、20世紀に先進国で起きた「都市化(Urbanization)」を、他の国々が続々と経験するようになるということです。

連合(経済社会局)の調査によると、2030年には世界人口77億人(推定)の60.0%が、1年の半分以上を都市部で暮らすと予測されています(都市人口率)。 [United Nations, 2014]同局Webサイトの予想地図をみると(図表1)、アジア圏は中国、インドなどを中心に、人口1,000万人を超える都市(赤丸)が増えます。北米、ヨーロッパ、アメリカ、中東にも100~500万人都市(青丸)が点在。都市人口率60%以下の国家(黄色、緑色、水色)は、東部-中央アフリカ、南西アジアなどに集中するとの推計です。

図表 1 Percentage urban and urban agglomerations by size class 2030年には世界の6割が都市化する。

図表 1 Percentage urban and urban agglomerations by size class
2030年には世界の6割が都市化する。

低所得国、発展途上国ほど急速な都市化が見込まれる

さかのぼれば、1950年代には29.6%だった世界全体の都市人口率は、2010年にはすでに51.6%に達しました。さらに今後は中上位所得国の増加が見込まれているのです(中国、ブラジル、ハンガリー南アフリカタイ王国など56ヶ国。2010年と比べ13.4%増の73.2%)。都市自体の成長率では、下位所得国の成長も著しいと推計されます(図表2)。私たちは人類史上で初めて、「都市に暮らすひとのほうが、そうでないひとよりも多い世界」で暮らすことになるのかもしれません。

図表 2 低所得国、発展途上国ほど急速な都市化が見込まれる。

図表 2 低所得国、発展途上国ほど急速な都市化が見込まれる。

世界的な「観光客」の増加

都市に増えるのは「住む人」だけではありません。2017年4月の訪日観光客数は約258万人と、単月で過去最高をマーク。外国人観光客が増えていると、日々の暮らしで実感される方も少なくないでしょう。

これは国際的な現象です。国際観光客数は、2009年の世界経済危機以降、6年連続で長期予測における年間平均を上回る成長を記録しています。2015年の国際観光客到着数(1泊以上の訪問客)は世界全体で4.6%増加、前年比5,200万人増の11億8,600万人に達しました。 [UNWTO, 2016]

 

図表3「世界のインバウンド観光―国際観光客到着数と国際観光収入」(UNWTO(国連世界観光局))

図表3「世界のインバウンド観光―国際観光客到着数と国際観光収入」(UNWTO(国連世界観光局)

旅行目的も多様化しています。観光庁では「ニューツーリズム」政策を掲げ、エコツーリズム(自然保護)、グリーンツーリズム(農村民泊)、ヘルスツーリズム(医療)、産業観光など、都市の特性と旅行者のニーズに即した観光の振興を図ります。 [観光庁, 2016]  2020年東京オリンピック開催に照準を合わせ、政府や自治体、交通各社、周辺の教育機関など、産官学で「おもてなし」品質の向上を図る動きはご承知の通りです。

例えば星野リゾートは、ビジネスホテルの観光利用の増加を受け、2017年4月に都市観光ホテルへの注力を発表。大阪・新今宮エリアに都市観光ホテルを開業予定です。 [伏見学, 2017] 7月には日本政策投資銀行らと設立した宿泊業向け投資ファンドの運用規模を、従来比7倍の141億円規模に増やすと発表しました。 [日本経済新聞, 2017]また、東横インプノンペン三井不動産台北西鉄グループがバンコク、ソウル、釜山、スーパーホテルバンコクと、ビジネスホテル各社は続々と東アジアの新興都市へ進出を決めています。このように各国の都市には、「居住地として」だけでなく「訪問先として」の機能も充実されるでしょう。

20世紀に「都市化」を経験した日本

都市化は世界で否応なく進展します。各国政府はさまざまな公共事業や投資誘致、助成活動に取り組んでおり、日本もその例外ではありません。国連経済社会局の推計によれば、日本は今や、都市人口率が93.9%を占める都市化国家 [The World Bank, 2017](国連経済社会局, 2013)。香港、シンガポールモナコなど都市人口率100%の国・地域に続いて、世界19位です(※人口5,000人以上の地域を「都市(urban)」と見なしており、日本の都市化要件とは異なることに注意)。 [国際統計格付センター, 2013]

そして幸か不幸か、日本では戦後の都市開発史のなかで、「都市化」の利点、難点の双方がいくらか明らかになっています。

次回の記事では、近現代日本史における「都市化」の軌跡と、そこで明らかになった都市化のメリット・デメリットを、駆け足でふり返ってみることにしましょう。

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(著作:清水響子+編集部 編集・構成:編集部)